• TOP
  • > よくあるご質問

よくあるご質問

質問一覧

 
【カリキュラム】愛媛大学の取組を参考に3つのポリシーの策定に着手したいのですが、参考になる資料はありますか?

本学の3つのポリシー策定と一貫性構築の取り組みについては下記を参照してください

・佐藤浩章(2010)「学士課程教育体系化のステップ―3つのポリシーの策定と一貫性構築―組織体制づくりとめざすべき人材像の策定」『Between』233号,pp.46-47 
→web掲載はこちら

・佐藤浩章(2010)学士課程教育体系化のステップ―3つのポリシーの策定と一貫性構築―ディプロマ・ポリシーとアドミッション・ポリシーの策定」『Between』234号,pp.44-47
→web掲載はこちら

・佐藤浩章(2010)「学士課程教育体系化のステップ―3つのポリシーの策定と一貫性構築―カリキュラム・ポリシーの策定」『Between』235号,pp.44-47
→web掲載はこちら

・佐藤浩章(2011)「学士課程教育体系化のステップ―3つのポリシーの策定と一貫性構築―カリキュラム評価手法の策定」『Between』236号,pp.46-47
→web掲載はこちら

・沖裕貴・田中均(2006)「山口大学におけるグラデュエーション・ポリシーとアドミッション・ポリシー策定の基本的な考え方について」『大学教育』第3号
 

 
 
【授業】学生に質問したり、学生同士でディスカッションをさせたりするのですが、なかなか打ち解けた雰囲気になりません。手軽に教室の雰囲気を和らげる方法はないでしょうか?

アイスブレーキングをしてみましょう

学生参加型の授業にしようと、一生懸命働きかけているのに、なかなか学生がのってこない。そういうことってありますね。「せっかくこっちが問いかけている のに、何て主体性のない学生なんだ」とイライラしてしまいます。しかし教員がイライラするほど、学生は更に緊張してしまいます。緊張した状況での学習は、 効果が低いものです。最近の学生は、他者との人間関係を作るのが苦手な場合が多く、知らない他者と同じ教室にいるだけでとても緊張しています。授業で、活 発な議論を期待するのであれば、そうした緊張関係を解く必要があります。そんな時に使えるのが、「アイスブレーキング(氷解)」です。ゆるやかな関係を作 るウォーミングアップといってもよいでしょう。

最も一般的なのは、「自己紹介」です。隣人が何者かを知ることで、緊張感は一気に緩和します。大人数の授業でも、前後の人同士で自己紹介をしてもらうこと ができます。(隣同士は友人の可能性が高いので避ける。)自己紹介の際に、A4の紙に大きく、自分のニックネーム、嫌いな食べ物などを書き、皆に見せなが ら言ってもらうと、自然と笑いが生じたりします。また、A4の白紙を配布し、10枚程度の名刺を作ってもらい、自分の名刺と他人の名刺を交換しあう「名刺 交換ゲーム」も有効です。

また身体を使ったアイスブレーキングも有効です。緊張状態で学生たちの身体は固くなっています。例えば、背伸びをさせる、肩甲骨を回すといったストレッチ 運動は心身ともに緩めてくれます。高齢者の場合は、お互いの肩を揉むなども効果的なのですが、最近の学生は見知らぬ人との接触を嫌がりますので注意が必要 です。こうした身体のリラックスにより自然に生じる笑いが教室の雰囲気を和らげてくれます。

アイスブレーキングなどをやっている時間的余裕はない、小学生ではないのだからと思われるかもしれませんが、最初に行う10分ほどのウォーミングアップで、残りの時間が有効に使えるのであれば、効率的な作業とも言えます。

また実施上、注意しなければならないのは、作業を指示するあなた自身が楽しげにやるということです。あなた自身の表情が固いと、学生も嫌々ながら作業をすることになります。ゲームだとわりきって、楽しく行うことが大事です。是非、試してみてください。

 
 
【授業】学生から『きちんと板書をしてほしい』というコメントをもらいました。私は全て板書する授業はあまり良い授業ではないと考え、ポイントのみを書くようにしているのですが。

遠くから自分の板書を見てみましょう

学生からの授業アンケートを見ると、板書についてのコメントが多く見られます。学生は予備校や塾での板書に慣れているせいか、「様々な色のチョークを使っ てきれいに書いてほしい」「後から振り返ったときに見やすく板書してほしい」等の意見を書いています。それに対して、「話の中から重要なポイントを見つけ て板書するのが大学生だ。私はそれを訓練しているのだ。」と、講義ノートを読み上げて板書をしない教員もいます。今回は黒板の使い方について、考えてみま す。

[板書の一般的使用方法]
板書の目的は「授業の構成を明確にし、主要な点を強調すること」にあります。以下のような事柄を行うことができます。

  • その日に扱うテーマの概要を示す
  • 講義の主要な点を列挙する
  • 学生から出された意見を要約する
  • 難解な専門用語、外国語などのスペルを示す
  • 図表、グラフ、時系列といった情報を示す
  • 公式、演算、証明の手順を示す

授業前の準備段階でどの内容を書くのか計画を立てる必要があります。無秩序な板書は学生を混乱させます。また板書を書き写す時間を与えましょう。学生は新 しい情報を聞き、理解し、書き取ることを同時には行えません。だいたいの学生がペンを止めたことを確認して次の話題に移りましょう。

[全体の俯瞰図として使う]
学生は今聞いている話が、全体の中でどの位置にあるかを忘れることがあります。そうなると広い森の中で迷子になるようなもので学習効果が減少します。それを避けるために、左端一列に、授業の全体像を書いておき、常にそこは消さないようにしておくのも一つのアイデアです。

[図表や絵を描く]
話による説明だけだと理解しにくくても、図表を描くことで、理解を促すことができます。テーマ毎の整理の時間とすることができます。

[重要点を強調する]
一つのテーマが終わる前に、板書内容の中から重要点に下線、丸囲みなどを色チョークで描くことで、まとめとなり、印象深く学生の記憶に残すことができます。

[板書のコツ]

  • チョークのきしみ音に気をつけてください。チョークを半分に折って使うと音を防げます。
  • 字の大きさ・濃さについては、実際に遠くから自分の板書を見てチェックするとよいでしょう。教室の大きさによって変える必要があります。学生に「見えますか」と時々聞いてみてください。学期末の授業アンケートで酷評されることを避けることができます。
  • ホワイトボードは、反射やペンのインク切れ等、見にくくなる可能性が高いので気をつけます。
  • 黒板の左上が最も見えやすく目立つ場所です。効果的に使用します。逆に下部は、見にくいので使わないようにします。首を傾げてノートをとる学生がいる場合は要注意です。
  • 授業終了時には、黒板を完全に消して次の教師が気持ちよく使えるようにしておきます。今時、自主的に消してくれる学生を期待するのは無理です。ま た消す時間を取ることは、学生が話しかけやすいチャンスを作ることでもあります。学生は、授業終了時に一目散に教室から逃走する教員には、話しかけにくい ものです。

参考文献:『授業の道具箱』(バーバラ・グロス・デイビス 東海大学出版会 2002年 2800円)

 

 
 
【授業】受講生の中に、聴覚に障害を持った学生がいます。どのような点に注意すればよいでしょうか?

「はっきりと、ゆっくり」と話しましょう。

  • 聴覚障害学生と補聴器 聴覚障害学生は補聴器を装用していますが、補聴器は音を大きくする役割しかありません。そのため、ラジオのボリュームを上げ過ぎると余計に聞き取りにくく なるように、音の有無は分かっても、必ずしもコトバがはっきりと聞こえるわけではないのです。また、個人用補聴器は1対1の会話では役立っても、授業場面 では話者との距離が遠すぎて、効果が薄くなります。「補聴器をつければOK」ではない点を、まずご理解ください。

     

  • 聴覚障害学生に必要な情報 聴覚障害学生は、補聴器からの情報と視覚的な情報(話者の口の動き・板書・OHP・配布資料など)をあわせて授業内容を理解しています。聴覚の障害が重く なるほど、視覚的な情報の比重は増します。このように、聴覚障害学生は情報の多くを視覚に頼っていますので、次の点にご配慮ください。
    • 配慮していただきたいこと
    1. 学生の方を向いてはっきりと口を動かし、ややゆっくり目に話してください。
    2. 授業内容を分かりやすく示した資料を手渡していただくと大変役立ちます。授業用の講義録のコピーを授業の始めにお渡しいただいても結構です。
    3. 授業中に作業等が入る場合は、作業課題の内容が理解できているかどうかを、本人に確認してください。
    4. 聴覚障害学生は、教官の話しを聞いているとき(口元を見ているとき)はノートがとれません。逆に、ノートを取ったり資料を見たりしているときは教官の口元を見ることができません。できるだけノートをとる時間的な余裕を与えてください。
    • 避けていただきたいこと
    1. 板書しながら話す・・口元が見えないので聴覚障害学生には全く理解できません。
    2. 部屋を暗くする・・・視覚情報が遮断されて何も分からなくなってしまいます。
       
  • ノートテイク支援について
      聴覚障害学生の受講に際しては、学生の両脇に2名のノートテイク・ボランティアを配置し、授業を少しでも多く理解できるように支援しています。 ボランティア学生は交代で講義内容をノートに書き、聴覚障害学生はそれを見て教官の話す内容を理解します。しかし、文字を書くには時間がかかるため、授業 内容の全てを書き取ることはできません。また、教官の話す速度が速すぎると、ノートテイクがついていけなくなってしまいます。
    • ノートテイク支援が行われているときは、ゆっくり目の速度で話すようにしてください。教官の話にノートテイクがついていけているかどうか、ときどき確認していただくと助かります。
    • 授業の始めに、その日の講義の流れを示す講義概要や配布資料を、聴覚障害学生とノートテイカーの両方に手渡して頂くと、大きな助けとなります。

     

  • FM補聴器の使用について
      学生によっては、FM補聴器を使用する場合があります。FM補聴器は、話者がつけたピンマイクから無線で学生の補聴器に直接音声を伝えます。FM補聴器を 使用するときは、学生からピンマイク装着の申し出がありますので、ご協力をよろしくお願いします。なお、FM補聴器は、話者の声が聞き取りやすいという長 所を持つ一方、マイクをつけている人以外の人の声が聞こえないという欠点もあわせ持っています。

     

  • 聴覚障害学生がいちばん困る場面
    1. ビデオの視聴場面 聴覚障害学生がいちばん困るのがビデオの視聴です。ノートテイクや手話を見ているときは画面を見られませんし、画面を見ているときはノートや手話を見るこ とができません。もっとも効果的な支援は、画面に字幕を挿入することですが、それには設備・時間・費用がかかります。そこで、現実的な支援方法として、授 業で用いるビデオを1週間ほど前に聴覚障害学生に貸し出し、支援ボランティアと一緒に前もって視聴させることが考えられます。事前の貸し出しが困難な場合 は、授業が終ったあとに貸し出して、内容を理解できるようにしてください。

       

    2. ディスカッションの場面
      ディスカッションでは、会話が連続する上に、話者の位置や話者との距離が様々なため、内容の聞き取り・読み取りが極めて困難です。ディスカッションの進行 にあわせたノートテイクは難しく、たとえできたとしても、聴覚障害学生の理解はリアルタイムの会話から常に遅れることになります。この問題を解消するため には、十分な通訳能力を持つ手話通訳者の配置が必要ですが、手話通訳者の確保が難しいことと予算面の問題から、配置が困難な現状です。そこで、最低限の援 助として、ディスカッション場面では、以下の配慮をお願いします。
      1. 発言者に、聴覚障害学生の方を向いて、ゆっくり目に話すように指示する。
      2. 複数の人が同時に発言しない。発言と発言の間には少し間を置いてもらうようにする。
      3. 学生の発言が筋道立っていないときは、教官が内容を整理・要約して確認する。

       

    3. 外国語の授業 ノートテイクや手話通訳による対応が困難ですので、できるだけ板書してください。また、聴覚障害学生は Listening ができませんし、Oral Expression も難しいことが多いので、試験等では代替課題で対応していただくようにお願いします。

       

    4. 音楽・音
      通訳のしようがなく、対応が不可能です。聴覚障害の程度によっては、特殊な方法を用いることで、聞こえるようになる場合もありますので、必要な場合は障害者学習支援委員会にご相談ください。

     

  • 体育実技について
    体育実技は、ルールが明確な上に、周囲の人を見ながら行動できますので、聴覚障害学生にとって比較的わかりやすい授業です。ただ、進行・手順が複雑な場合 や途中で指示が必要な場合は、その内容を近距離で、1対1で伝えていただくようにお願いします。

     

  • 手話通訳について
    現在のところ、聴覚障害学生の授業支援はノートテイク・ボランティアの配置にとどまっていますが、障害者学習支援委員会では、将来、必要に応じて手話通訳 をつけることも計画しています。手話通訳は、外国語の通訳と同じで、十分な通訳ができるためには、長年の研修と努力が必要です。そのため、手話通訳の配置 にあたっては、十分な能力を持つ通訳者の派遣を学外の団体に依頼するほかなく、それには謝金が必要となります。この点についてのご理解を、どうかよろしく お願いいたします。

『愛媛大学共通教育科目 授業担当教員ハンドブック2003』より

 

 
 
【授業】ゼミでは学生とのコミュニケーションがうまくとれますが、大人数の講義ではうまく意思疎通できず、不安を感じています。特に今の学生は無表情なので何を考えているかわかりません。

共同的な感覚を作り上げる。

大人数の授業で、学生の集中力を保つのは非常に難しいことです。とりわけ共通教育の授業は、学部も異なり共通の話題を持ちにくく、「教壇に立つのが緊張す る」(医学部教員)という方もおられます。大人数の講義では、学生は匿名性という殻をかぶり、教員の問いかけを無視したり、私語を始めたりします。学生に とっては、情報を一方的に提供される状況になり、教員と学生の関係は、テレビのタレントと視聴者というつまらない関係になってしまいます。以下では、大人 数の授業であっても、学生個々の存在を明確にし、自らも授業を作り上げている主体であることを意識させるためのいくつかの方法を考えてみます。

[空間をフルに使う]
広い教室の中でも、教員が通路を通って動き回ったり、資料を配布したりします。教員が近くにやってくることで、リアリティを感じさせます。小グループやペ アで議論をしてもらう際には、実際にどこかのグループに入ってみるのも一つの手です。その際、「なるほど。それはおもしろい意見だね。」などと声をかけて あげると更に、学生との距離を小さくすることが可能となります。

[学生が互いのことを知り合うことを奨励する]
米国での先行研究によれば、「個人が認められない教室では、級友や教員に対する責任を感じる割合が低い」とされています。また、クラスで自分が無名の存在 だと思っている学生は、学習の動機づけが比較的弱く、必要な作業もしない傾向があり、逆にクラスに共同体の感覚を抱いている学生は、より集中し、参加の割 合も高くなっているようです。大人数の講義でも、できるだけ二人、三人での共同作業を盛り込むようにします。その際、仲の良い友人だけで固まらないよう に、異なる学部の学生だけでチームを作るように指示したりします。

[何人かの名前を覚えて、学生を名前で呼ぶ]
大人数授業では、全ての学生の名前と顔を一致させることは不可能です。しかし学生は、教員が数人でも学生の名前を覚えようと努力する姿勢を評価していま す。質問をした学生やコメントカードに良い意見を書いた学生がいた場合には、次回にその質問や考えを引用して紹介することも有効です。最初のうちは、そう した行為を嫌がり、匿名のままでいたがる学生がいるかもしれません。しかしそこで揺らいではなりません。もちろんプライバシーに留意することは必要です が、質問したり意見を述べたりすることは大事なことであり、恥ずかしいことではないということを説明し、それを歓迎する雰囲気を作り出さなければなりませ ん。そうしなければ、教員にだけには意見表明するという依存的な関係を作り上げてしまうことになります。

[学生に無名の聴衆の一人ではないことを知らせる]
多くの学生は、自分たちが教室でやっていること(飲食、私語、居眠り、遅刻など)が気づかれていないと思っています。つまり、大人数講義で教員は、学生に 関心を持っていないと考えているのです。教壇からは、全て良く見えていて、それぞれの行為が、授業にどのような悪影響を与えているのかを説明します。

参考文献:『授業の道具箱』(バーバラ・グロス・デイビス 東海大学出版会 2002年 2800円)

 
 
【授業】シラバスにオフィスアワーをわざわざ入れているにも関わらず、学生が質問に来ることはありません。このような時間を設定する意味はあるのでしょうか?

オフィスアワーの意味を繰り返し伝える。

今年度から、シラバスにオフィスアワーを記載するようになりましたが、皆さんはオフィスアワーをどのように活用していますか?設定しても学生が来ないという場合も多いようです。効果的に活用するにはどうしたらよいのでしょう。

[目的を繰り返し伝える]
オフィスアワー制度は、日本の大学に導入されて日が浅いこともあり、教員、学生の間でも認知度が低いのが実態です。オフィスアワーとは、教員が特定の時間 を設けて、学生の質問や相談に応じる面接時間のことです。授業や課題についての質問を受けたりできます。原則として、事前の確認なしで訪問ができることに なっています。学生から見れば、いつ訪問しても不在であったり、訪問して不愉快な顔をされるといったことがなくなり効率的です。また教員からしても、ひっ きりなしに学生が訪問してくることを避けることができ、個人指導をすることで学生の学習進度を調整することができます。こうした目的については、最初の日 だけではなく、学期中にも数回説明しましょう。

[研究室のドアに掲示する]
シラバスには時間帯のみを記入している場合が多いのですが、場所(○○学部○号館○室)も伝えます。わかりにくい場合は地図を黒板に書いたりしましょう。 また研究室のドアにも時間帯を掲示してみましょう。またオフィスアワーを「授業に関する質問のための時間」としてだけではなく、様々に活用することで、学 生の学習効果を高めるアイデアもあります。

[課題の一つとする]
学生に短い口頭による発表をさせたり、論文の概要をまとめて発表させるなどして、オフィスアワーを活用することができます。学生とのコミュニケーションの場ともなり、きめ細かな学習指導が可能となります。

[成績不良の学生への指導時間とする]
学期途中の課題を学生に返却する際に、「このことに関して、私に会いに来てください」とコメントをしておきます。調査によればこうした書き込みに反応する学生の比率は約75%です。また一度訪問した学生が、再度訪問しやすくなるアイデアもあります。

[学生に真剣に対応する]
学生は、教員の時間を無駄にすることを気にしています。何度も時計を見たり、学生と話しながら他の作業をしたりすることは避けましょう。オフィスアワーにかかってくる電話は取らないという教員もいます。

[気持ちをほぐす]
研究室に入ることで非常に緊張している学生もいます。授業の質問に答えるだけではなく、授業の感想や学生の出身地などを聞きます。オフィスアワーに教員に質問や意見をする学生は、授業の課題を指摘してくれているわけですから、来てくれたことに対し感謝を述べます。

[目的を誤解した学生には注意する]
学生の中には、欠席した授業を繰り返してもらう時間だと誤解している者もいます。そういう目的でオフィスアワーを設置しているわけではないことをその学生には説明する必要があります。

参考文献:『授業の道具箱』pp.447-452(バーバラ・グロス・デイビス 東海大学出版会 2002年 2800円)

 
 
【授業】30人の授業を担当していますが、積極的に学生に質問をし、議論するよう促しているのですが乗ってきません。個々には話すのですが、集団での議論が苦手なようです。

全員の意見を必要としていることを伝える

少人数で双方向型の授業の必要性が叫ばれ、こうした授業が増えています。しかし、ディスカッションが活発にならないのでどうしたらよいかという悩みも増え ているようです。米国の例ではしゃべりすぎる学生をどう制御するかという悩みがあるようですが…。下記では、ディスカッションを活発にするいくつかのコツ を紹介します。

[目的を繰り返し伝える]
ディスカッションの目的は、問題を徹底的に考え、根拠を持って、自分の意見を主張すること、多様な意見を正確に聞き取り、的確に批評する能力を身につける ことにあります。講義法では得られないスキルを身につけさせる方法であることを伝えます。これを理解させないと、惰性的に仕方なく、お決まりの発言をして 終わりということになりかねません。

[ディスカッションのルールを伝える]
教員は、例え同じ意見であったとしても、全員の意見を必要としていることを伝えましょう。またどんな意見であってもまずは丁寧に聞きあうこと、批判する際 には人格ではなく考え方を批判することをルールとします。これがあると学生は安心して、その枠内で議論をすることができます。

[話しやすい話題から始める]
まずは学生一人一人が意見を述べる訓練からしなければならない場合(新入生あるいは最初のディスカッション)は、学生の話しやすい課題を与えます。例え ば、考え方ではなく事実を聞く質問をします。「昨年観た映画は何ですか?」あるいは、学生個人の経験を引き出す課題も答えやすいものです。「皆さんの中学 校では障害者用のエレベーターがありましたか?またあるべきだと思いますか?」こうした課題を、本題につなげていきます。

[少人数のディスカッションから始める]
30人のクラスの中で、発言するのはかなり勇気のいることです。与えた課題をまずは2人、3人で議論させ、そのグループの討論結果を全体で報告させることから始めてみます。意見の相違が出てきた段階で、グループ毎に意見のやり取りをさせるよう誘導します。

[自分の意見をまとめる時間を確保する]
いきなり与えられた課題について議論することは困難な作業です。事前に宿題として全員に課題を提示したり、予習をしてディスカッションをリードする学生を 決めることもアイデアです。宿題にしなくても、授業中に課題を出した後10分間自分の考えを紙にまとめる時間を確保してから、その記述内容をもとに議論に 入ります。

[机や椅子の位置を工夫する]
講義法向けの机の配置ではディスカッションがしにくいので、互いの顔が見えるように半円形にしたり、机をくっつけて島をつくったりします。机の移動を学生は面倒がりますが、多少の時間をかけるだけでディスカッションが活発になるのであれば、大した手間ではありません。

[学生の発言を取り入れる]
「○○さん、さっきグループディスカッションで話していたことを全員にもう一度聞かせてくれる?」といったように、教員のコメントではなく、学生の発言を積極的に取り上げます。

 
 
【授業】化学の実験を担当しています。TAを頼んでいるのですが、役割分担があまりうまくいっていない気がします。どのようなことをしてもらうと良いのでしょう?

教育スタッフとしての自覚を

米国の大学では、TAに対する研修がしっかりと実施されています。教育スタッフとして、TAを位置づけているからです。一方日本では、大学院生の生活補助 的なイメージがあり、きちんとした研修もないまま授業の補助に入ることも多くあります。受講している学生に対して、教育スタッフとして接してもらうこと で、あなたの授業の質を向上させることができます。最近国内の大学でもTA研修を始めるところが出てきました。本学でも4月に、初めてのTA研修会を予定 しています。

[学期が始まる前に、TAとの会議を開催する]
授業の目的、評価方法、受講のルールについて確認をします。あなたが、TAを新任の教員としてみなし教育すること、役割、留意点を伝えます。普段同じ研究 室にいる院生だと、どうしても学生として扱ってしまいがちですが、ここは一線を画す気持ちで話します。とりわけ、TAの経験が将来、大学教員になろうとも ならなくても、社会人として役立つ経験であることを伝えましょう。

[TAの紹介を学生にきちんと行う]
TAの名前、専門、出身高校などを学生に伝えます。自己紹介でも良いでしょう。その際、学生にはTAは教員スタッフであることを伝えます。TAに注意された時に、反発させないための工夫です。

[授業終了後に時々話し合う]
「今日の授業はどうだったかな?講義が難しすぎただろうか?」といった意見交換の機会を時々設けましょう。「またいつも遅刻してくる○○君にどう注意した らよいだろう」とあなたの抱える悩みや問題を正直にTAに伝えましょう。良きアシスタントとして君を必要としているというメッセージを送ることで、TAの 自信と責任感を育成します。その際、積極的にTAからの意見を聞きましょう。

[セクハラ、人権問題について教える]
学生に接するTAの場合、セクハラや人権侵害が生じる可能性があります。教室の中には、多様な性や文化を持った人たちがいること。心無い一言で、大学に来られなくなるケースがあることも伝えます。

[TAの労働条件に配慮する]
TAが規定の時間以上に仕事をしすぎていないか、当初定められた仕事以外のことを任せていないかを時々振り返りましょう。ついつい甘えて、いろいろなことを任せていませんか?TAの労働意欲を減退させますので注意しましょう。

[TAが上手に振舞った場合は誉める]
学生に上手に教えているのを見たら、授業終了後に積極的に誉めましょう。どのような行為が適切なのか、再度繰り返すべき行為は何かを知ることができます。

[学期の半ばに学生によるTAの評価を行う]
共通教育の場合は、学期の半ばに中間アンケートが実施されます。それと同時に、TAに対する評価も聞きだすと良いでしょう。学生にTAを教育スタッフとして認識させるという意味でも、TAの自覚を育てるためにも、良い機会です。

[TA同士でのつながりを作る] 
複数のTAを採用している場合、TA同士で話し合わせることも大切です。お互いに情報交換をしたり、自分を振り返る機会となります。

 
 
【授業】講義だけだと退屈すると思い、ビデオを使うことが多くあります。ところが、アンケートには「ビデオばかり見せられて退屈だった」とありました。効果的な使い方はないでしょうか?

映像の批判的な見方を教える

映画や市販のビデオも含め、映像教材は、学生に教育内容を理解させるのを促進するのに効果的です。教室にいながらにして、時間や空間を超越することができ ます。ミクロやマクロの世界を見せることで、日常世界では体験できない世界に興味を持たせることができます。しかし使用方法を誤ると、学生にとって単なる 休憩時間になってしまうこともあります。効果的に活用するにはどうしたらよいのでしょう。

上映前に十分な説明を
「今日はビデオを見ます」と言って突然上映をスタートするのでは、学生も困惑します。見せる理由、何を学んで欲しいのかについて学生に説明します。映像と 学生がすでに知っている知識(既有知)との関連づけ、専門用語や固有名詞の黒板への書き出し(知らない用語が出ると思考が停止し、内容に集中できない学生 がいます)などを行います。上映後にする質問を黒板に書き出しておくことによって、学生は集中して映像を見るようになります。最も良くないのは、講義が連 続して学生も疲れただろうからという理由でビデオを見せる場合です。その意図が学生には伝わってしまいます。

批判的に見る訓練を
あらゆる映像は意図的に作られています。同じテーマを異なる見方からとらえたニュースや映画を見せて、批判的に映像を見る訓練をする必要があります。幼い頃から受容的にテレビやインターネットを見ている学生たちの中には、映像を疑うことをしない者もいます。

途中で止める
長い映像の場合は途中で止めて、学生に内容に関する質問をしたり、「この人はこういっているが、私はこう思う」と映像中の人物と教員が仮想で対話をしたり するのも効果的です。また科学の実験では、実験映像を途中で止めて、次に何が起こるかを学生に推測させることもできます。また、レジュメや教科書の関連部 分を参照するなどして、教材同士の関連性を指摘します。また、上映中に私語でうるさくなった場合は、止めて注意をします。

事前の準備をきちんと
AV機器の操作に手間取ったり、冒頭部分の巻戻しができていなかったりすると学生の集中力が切れます。十分な準備をしましょう。また教員は、最初から最後まで事前に内容を見ておき、見るポイントや視聴後に学生同士で話し合わせるテーマを書き留めておきます。

学生とともにビデオを見る
自分は何度も見たからといって、教室を出てしまう教員がいるようです。視聴時の教室の雰囲気や学生の反応、表情を観察することで、多くのことを学ぶことが できます。「さっきは○○の場面で皆さんは強い関心を示していましたね」とコメントすることで、授業に引き込むこともできます。

自分で映像を作る
実際のところは、授業で使いたい映像が教材化されていないことの方が多いかと思います。その場合は、自分でデジタルビデオを使って撮影し、教室で流すこと もできます。安価で済みますし、教員が撮影した映像ということで注目度も高まります。ただし、プロジェクターを通した大画面で視聴する場合、画像の揺れ、 光の具合、音声などが不備だと視聴に耐えないものになる可能性は高いです。長時間の映像の場合は、専門家からのアドヴァイスを受けると良いでしょう。

 
 
【授業】授業では、プレゼンテーションソフトではなく、OHPを利用することが多いのですが、学生から視聴覚機器の使い方が悪いとアンケートに書かれました。上手にOHPを使用する方法はありますか。

特性を知って使用しましょう。

最近は、プレゼンテーションソフトを使用して、授業を行う教員が多くなってきましたが、これには①教室が暗くて学生の眠気を誘う、②学生がテレビや映画を 観ている感覚になり単調となる、といったデメリットもあります。一方、OHP(オーバーヘッド・プロジェクター)は、伝統的な教育機器ではありますが下記 のメリットがあります。 ①明るい場所でも使用できる。②黒板を使用すると同様に、授業中にその場で透明シートに記入することができ、学 生がノートを取りやすい。③投影された画像が比較的鮮明で見やすい。④学生の方を見ながら、記入することができる。⑤プロジェクターのスイッチを入れたり 切ったりすることで、授業が冗長になるのを避けることができる。 もちろん、下記のデメリットもあります。①使用時に音が発生する。②プロジェクターのそばにいなければならない。以下では、複数の使用方法別のティップスについて説明します。

[準備段階]
スクリーンや画像が学生に見えるかどうか 、授業開始前に確認しましょう。文字が小さく読み取れないというコメントが多く見られます。大人数講義の中ではなかなか指摘しにくいようです。また授業中に 電球が切れた場合の対応 を考えておきましょう。共通教育の場合は、学期の初めに職員が点検をしています。また講義棟に設置されている内線電話を使えば、電球を持参してくれます。予備用の電球がOHPには常備されていますが、 交換方法を確認 しておくのもよいでしょう。

[準備したシートを話の展開に合わせて使う]
提示する順番を間違わないように整理しておきます。すでに準備したシートにも、赤で波線をつけて強調するなどすると臨場感が出て学生の 集中力を高めます。また複数のシートを重ねることで、グラフの変化、植物の成長過程、建造物の構造などをわかりやすく説明することもできます。

[黒板代わりに使う]
基本は黒色のペンで書きましょう。ただし興味をひき付け、強調するためには、 赤や青を使うと効果的 です。1枚のフィルムにたくさんの情報を書き込むのは、避けましょう。学生が情報を整理しやすいように、記入していきます。

[資料提示用として使う
関連のある新聞記事や漫画、絵画などを提示することができます。あまり大量の資料を提示すると学生は混乱しますので、90分では15枚から20枚程度にします。

[ノートを取る時間を確保する]
提示したり、書き込んだりした後は、 学生がノートを取る時間 をしっかり取りましょう。学生の様子を見て次のシート に移るようにします。また事前に記入してあるシートの場合は、提示した後少し時間をおいてから話始めると良いでしょう。授業時間中に書き取れなかった学生 のために、研究室のドアにOHPシートのコピーを掲示しておき、研究室に来やすく誘導するという方法もあります。

[隠しながら提示していく]
提示する際は、一度に全て見せずに、 最初の話の部分以外を不透明な紙で覆い隠します 。学生は、覆いのない部分に集中でき、情報を少しずつ整理しながら、記憶していくことができます。

参考文献:『授業の道具箱』(バーバラ・グロス・デイビス 東海大学出版会 2002年 2800円 pp.389-395)