イベント・セミナー

 

第6回愛媛大学全学シンポジウム 教育実践シンポジウム

■日時

2003年12月4日 

■テーマ

自ら学ぶ学生を育てる 

■場所

共通教育講義棟24講義室 

■概要

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 約70人の教職員の参加がありました。今回は「自ら学ぶ学生を育てる」というテーマで,その具体的な実践例を募集した結果,9件の優れた応募があり,そのうち8件が発表することになりました。 

 始めに,小松学長から,自ら学ぶ学生を育てることは大学教育の究極的な目的であり,18歳人口の減少に伴う大学全入時代を目前にして大学が責任を持って取り組んで行かなければならない課題である旨の挨拶がありました。 

 その後、主催者を代表して和多田FD委員会委員からシンポジウムの目的と進め方について説明があり、各組から、学生の自主的・主体的な勉学活動を育成するためのさまざまな創意・工夫が具体的に報告されました。

 質疑も活発に行われ,「自ら学ぶ学生を育てるための授業は大人数クラスでも可能か?」,「ディベート型授業で会話がとぎれないための工夫は?」「学生にやる気を起こさせるにはどうすれば良いか?」等の質問が多く提出されました。 

 後に前川副学長から,大学教育総合センターでは今後も全学的FDを推進し,学習の動機付け教育や,共通教育科目と専門教育科目との結びつきなどについて検討していきたい旨の抱負が述べられ,閉会しました。

 以下に発表内容を掲載します。 

 

実践,体験型教育の全学的展開の提案

-フィールドワーク,インターンシップの経験と教訓-   

松本 朗 (法文学部 総合政策学科) 

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 近年、インターンシップをはじめとする体験型、実践型教育が盛んに行われるようになってきた。具体的にはフィールドワークやインターンシップがそれに当たる。前者は、社会体験に乏しく、問題意識の薄い学生の問題意識を高め、より積極的に大学教育に導入することを意図しており、後者は、さらに就業意識などの醸成を目的としていた。 

 法文学部では総合政策学科への再編以来、フィールドワークを導入し、積極的に推進してきた。この取り組みは、昨年の和田教官の報告にも見られるように一定の成果を上げてきていると考える。同時にいくつかの課題が明らかになってきた。  

 一方、インターンシップについては、愛媛県内でも松山大学を皮切りに順次カリキュラムに取り入れてきている。また、全国的にも多様な広がりが見られている。しかし、普及に伴って、様々な問題が発生してきた。例えば、受入企業と学生とのマッチングの問題などが典型的な問題としてあげられる。社会的な要請などもあり、こうした問題に対処するため愛媛大学では昨年度から全学インターンシップ委員会を立ち上げると同時に、松山大学、東雲大学、および同短期大学と合同で連絡協議会を設立し、窓口の一本化を図ってきた。そうした取り組みからもインターンシップが抱える課題や今後の方向性が見えてきたと思われる。 

 本報告では、これらの実践型教育の性格、役割などを整理し、過去の経験から見えてきた課題について報告する。さらに、新たな段階を迎えたこのプログラムについて今後全学的にどのように取り組んで行くべきかという点について私論を展開する。 

 

身近な環境調査を通して自ら学ぶ授業 -教育学部のゴミ分別実態調査の実践例- 

田邊 勝利 (教育学部 家政教育) 

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【目 的】 ゴミの分別は学部、大学における学生・教職員全員に関わる問題であるばかりでなく、学生が社会に出て職場であろうと家庭であろうと今後ずっと関わらずを得ない身近な問題である。今日的将来的に社会的に影響が大きい問題であるという前提から、ゴミ分別問題を実践的体験的に理解することは重要であると理解し、ゴミの分別問題を授業に取り上げた。

【方 法】 学生が学部で廃棄されるゴミ分別の実態調査を行い、その問題点を洗い出し、改善へ向けて提案を発表するという方法をとった。  

【結 果】 

・ゴミの分別チェックは、大変そうだけれど、それ以上に面白そうなので、頑張って取り組んでいきたいです。 

・みんなでゴミの実態調査をするのはなんだか楽しそう!! 

・ゴミの実態調査はやりがいと発見が必ずあると思います。 

◆ 第一週目ーーー調査の実践結果 

・あまりの分類の出来てなさに驚いた。今まで見たことがなかったのでショックも大きかった。ただ間違ったというのではなく、明らかに違うというところに分類されているゴミもたくさんあった。 

◆ 第二週目ーーー分別されていない原因 

・従来の表示は、分類の仕方がややこしい、曖昧な表現でどこに何を入れればよいかわかりにくい。 

・自分自身ゴミに対する意識だけでなく分別の知識もなかった。 

・表示内容の工夫対策として、ゴミ箱の表示を新しくした。というのは私達自身、ゴミ箱の表示を「わかりにくい」と感じていたからである。 

◆ 第三・四週目ーーー表示切り替え後の結果調査の実践 

・ペットボトルのふた・ラベルをはがす人もでてきた。 

・びん・かん、不燃物ゴミについては、きちんと分別されている日がほとんど。 

・「紙くず類」・「リサイクルできる紙類」にしたことでずいぶん改善された。 

・表示を分かりやすくすることで分別がきちんと行われるようになったと思う。しかし、レジ袋に紙パックのジュースや弁当容器を入れたまま捨てるという分別意識が全くない人もまだ多くいる。 

・ゴミ調査は2週間ほどだったので劇的な変化は見られなかったが、少しずつ分別に意識を向けてくれていっている様子がうかがえたと思う。 

【考 察】 授業での実践を通して、学生が学部のゴミ分別が想像以上に混乱した状態であることを認識するや、その状態をどのようにしたら改善できるかという問題に直面することになった。このあたりから学生は相当真剣にこの問題に取り組むことが自然の流れ
となっていった。学生達は従来のゴミ分別表示の不完全さを指摘し、分かりやすいゴミの分類の明示を提案しただけでなく、提案に基づく分別表示した新たなゴミ箱を試験的に期間を限定して設置をした。その結果を調査し報告した。この実践には「自ら学ぶ」姿勢がよみとれる。 

 

「そうではない」から始めてみる -「生態学特論」の実践例-  

中島 敏幸 (理学部 生物地球圏科学科) 

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はじめに

 このシンポジウムでは、私が担当している生物地球圏科学科の3回生を対象にした「生態学特論」という授業の取り組みを通して、自ら学ぶ学生を育てるという問題を考えてみます。 どうすれば、自ら学ぶ学生を育てられるか、これはとても難しい問題です。とても良い案が浮かびません。そこで、もう少し、ささやかな問いに置き換えて考えてみることにします。それは、「どうしたら知りたい気持ちになるか」という問題です。簡単な例を考えてみます。隣の奥さんの昨日の夕食のおかずは何だったしょうか?おそらく、かなり好奇心の旺盛な人でも、「そんなことはどうでもいい」と答えるでしょう。ではもし、「昨夜その奥さんが殺された。どうも毒殺らしい・・・」としたらどうでしょう。かなり知りたくなってきます。どうやら、知識には、知りたくなるような「文脈」というものがあるようです。つまり、個々の知識が孤立してあるのではなく、それぞれが結びついて何かネットワークのようなものを作っていく。これがより深い理解につながるといった状況が考えられます。要するに、知識を「使って」何かを理解するということが有効かもしれません。

授業の方針と進め方 

 「生態学特論」には、以下の目的があります。(1)生態学と進化生態学の基礎知識を習得する。(2)生態や進化の仕組みや環境問題の本質を議論や討論を通して理解する。このように、通常の講義形式の授業とは異なり、学生間、教官と学生との間の議論や討論を多く含みます。ここでは、「知識を使う」実践をします。受講学生数は10・15人です。これまであつかったトピックスは、環境、生態、進化、生命科学の各分野にわたっています。議論の舞台としては、簡単な賛成派vs.反対派の論争から、架空の委員会(諮問委員会、調査委員会など)を設定して進めています。なお、机はコの字型に配列します。議論をする前に、受講生には相手の意見を積極的に批判するよう奨励しました。これは、会話を活性化するために、また答えを発見するために、さらに、新たな問題を発見するために行うものです。難しいことはともかく、「そうではない」と、まず言ってみればいいのです。 

会話の流れ

 実際の授業での会話の流れを記録した一例を紹介します。これを見ると、1つの意見が反論を生み、それがまた反論を生む形で会話の連鎖が増大することが見えます。もう一つは、会話の連鎖がかたまりを作っていることです。これは、誰かが、話題転換をしたことにより、新しい会話の流れが生まれるためです。このことから、反論による会話の発展と話題転換による会話の広がりが重要であることがわかりました。この2点を意識的に取り入れて「デビルのしりとりというゲーム」を考えました。これを授業中に余興でやってみたので紹介します。まず議題を決め、一人目がそれに関して意見を言います。しりとりのように言う順番を決めておいた上で、次の人がそれに対して反論します。反論のほかに話題転換を認めます。 

授業の効果と課題 

 この授業を通して、受講生の意見をもとにその効果を整理すると、以下の点が挙げられます。(1)知識不足を痛感する。(2)論理的に自分の意見を表現することに苦労する。(3)知識を使う面白さを感じる。これらは、学生の知識欲を刺激するのにかなりの効果があるかもしれません。絶大な効果と言えないわけは、授業が終わればすっかり元に戻っている可能性があるからです。 

 

 エスノグラフィー的接近を用いた地域看護学実習の展開

~地域住民の生き生きとした暮らしを知るために~ 

大西 美智恵,田中 美延里,薬師神 裕子,足立 紀子 (医学部 看護学科)    

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  地域看護学教育における課題の一つは、臨床現場での患者・家族へのケアに比べて、地域全体の健康に責任を持つ保健師の活動が学生にイメージされにくいことである。そこで私たちは、学生の地域を観る目を養い、地域住民の生活を想像する力を高めるための試みとして、<エスノグラフィー的接近を用いた地域看護診断>を活用し、地域を実際に歩く、住民の話を聞く等、住民と触れ合う実習体験に重点を置くこととした。 

 まず、平成14年度から3年次前期の授業である「地域看護学診断」において、<エスノブラフィー的接近を用いた地域看護診断>を講義および演習内容に取り入れた。引き続き平成15年度から4年次前期の「地域看護学実習」で、学生が各市町村で地域看護診断の実際を体験することを実習の柱として位置づけた。なお、臨地実習3週間の内2週間が愛媛県下の保健所・市町村保健センターでのグループ実習(学生3名程度)である。 

<エスノグラフィー的接近を用いた地域看護診断>の実施方法の概要 

  教官が事前に各市町村の保健師と打ち合わせを行い、「一定の地区」「対象集団」および「テーマ」を設定する。学生は、 

1.既存資料(保健統計・事業報告など)を基に提示された地区の健康課題(健康に関わる生活課題)についてアセスメントを行う。 

2.ガイドラインに添った地区視診を行う。 

3.インタビューガイドを作成し、地区住民や関係者にインタビューを行う。 

4.(1)~(3)の作業を通して、その地区の健康課題を仮説的に導き出す。 

5.健康課題を解決する方策について、実習グループで議論・考察し、自由な発想で提示する。 

6.これらの作業を行うにあたっては、日々地域住民と関わっている保健師などから直接話を聞く機会を持つよう努める。

この新しいスタイルでの実習展開によって、学生は住民の生き生きとした暮らしぶりや地域文化と健康のつながりに気づき、保健師に


 

第5回愛媛大学全学シンポジウム

■日時

2002年10月23日 

■テーマ

基礎セミナー(導入教育)がもたらしたもの 

■場所

工学部大会議室 

■概要

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 第5回愛媛大学全学シンポジウム「教育実践シンポジウム」が10月23日(水),工学部大会議室において,大学教育総合センター主催により開催され,教職員,学生,松山大学,松山東雲女子大学,一般から約80人の参加がありました。

 「基礎セミナー(導入教育)がもたらしたもの」とのテーマで,特徴ある授業実施方法・内容について具体的な知見・ノウハウを広く紹介していただこうと募集したところ,7件の優れた応募があり,今回の発表となりました。以下に発表内容を掲載します。 

注) ○は発表者  

 

基礎セミナー実践例の紹介とその意義 -議論することと新入生研修合宿の活用について- 

山川廣司(法文学部人文学科) 

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 法文学部人文学科では、平成8年度に基礎セミナーが発足してから学科として抜本的議論はなく、従ってここでの発表は、発表者の個人的実践報告である。 

 発表者は平成12年度に基礎セミナーを担当し、そこで大きく2つの試みを行った。まず第1に大学に入学したばかりの新入生に、とにかく大学教育の中核をなすゼミ形式とはどのようなものであるかを直に経験させることであ る。そこで私の専門である歴史学と関連させて、「歴史を学ぶこと」をテーマに、シラバスを通して、いくらかでも歴史に関心をもつ学生たちを考慮して募集を行った。 

 その結果19名の学生が受講することになったが、彼らの問題関心は多様であることから、日・東・西洋史全般におよぶ内容をもつ浜林正夫・佐々木隆爾編『歴史学入門』をテキストに選んだ。 毎週2名の学生がチューターと司会を務め、ディスカッションを中心に思考力・批判力の涵養を図ると同時に歴史研究の導入を行うことで、共通教育ルネッサンスプランにもある大学における学問研究の基礎的態度を養い、自らの志向する専門分野のイメージを早期に把握させることを目指した。当初は戸惑いもあり、議論もぎこちなかったが、慣れてくるに従って議論の要点も掴めるようになり、全員ではないが発言する楽しさも感じたようであった。

 第2に、新入生合宿研修の活用である。人文学科ではほとんど活用されていないが、実施要項にもある「新入生と学生生活担当教官等教職員が起居をともにして懇談・意志の疎通を図り、オリエンテーション、講話を行うなどして今後の学生生活の手引きとなるような内容で行うこと」の趣旨で、6月3日(土)・4日(日)の1泊2日にわたり城川町の宝泉坊ロッジで1回生 19 名 2 回生 4 名の参加を得て実施した。ここでは主に大学とは何かを考え、大学教育及び大学生活への円滑な適応を援助するこ とを目的に、ガイダンスのあと、発表者からヨーロッパ最古の大学の1つであり、学生の組合( universitas )に起源をもつ「 12 世紀のイタリア・ボローニア大学の成立」について講話した。引き続き2回生からそれぞれ自分の大学生活1年間を顧みて先輩として後輩へのアドヴァイスの形で意見発表をしてもらい、それを受けて2回生を交えてのグループディスカッションを行った。その後夕食・懇親会さらには夜遅くまで学生たちの交流は続いた。授業では得られない経験をしたようである。翌日は帰る途中、内子町の施設見学を行ったが、合宿実施後は学生たち意志の疎通もスムーズになり、目的は充分に達成された。 

 このように基礎セミナーは大学生活への導入には重要な意味を持っており、勉学上、学生指導上大いに成果をあげることが期待される。 

 

教育実践力の系統的な育成を目指した「基礎セミナー」の試み 

壽 卓三 ○加藤 寿朗 ○鴛原 進(教育学部社会科教育) 

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 教員採用数の減少,いじめや学級崩壊などの教育問題の深刻化といった状況の中で,教育学部生の教職への関心や意欲の低下が問題となっている。このような学生の実態をふまえ,また,学問研究の入門授業としての基礎セミナーの位置づけを考慮しながら,教育学部社会科教育専修では以下の2点をねらった授業を開講している。一つは,教育臨床に基礎をおきながら理論を学ぶという基礎的態度を育成することである。そこで,基礎セミナーを教育臨床に関わる問題発見の機会として位置づけた。セミナーでは,附属小・中学校での授業参観,学生企画による附属教員とのディスカッション,授業報告書の作成を1セットとする授業分析を数回行っている。 

 特に附属教員とのディスカッションにおいては,「教える=教えられる」関係ではなく,教育活動に関して学生が抱いている素朴な疑問や意見を率直に出し合うことを重視している。

 二つ目は,学生の問題意識を大切にし,それを拡げ・深めながら専門教育との接続・発展を図ることである。実際には,基礎セミナーを単独の孤立したものとはせず,1年生前期のセミナーから3年生後期の「総合演習」との間の2年間に,異なる学年との共同授業「社会科研究演習」を4コマ設けている(図参照)。これら3年間にわたる授業では,一貫してグループ学習による研究・発表・討論という形式を採用し,学生自らの問題を教科専門の研究へと深化・発展させるように構成している。さらに,3年生後期の「総合演習」においては,「基礎セミナー」「社会科研究演習」「教育実習」での経験を基にしながら,優れた社会科授業を実践していく教育実践力の育成を目指している。 

 

 

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 以上のように,本専修では,教育学部生としての研究意欲の喚起と実践力の育成を図るために,問題発見の場としての基礎セミナーから問題解決に向けての演習という,系統性を重視したカリキュラムを構成している。今後,学生による授業評価の結果をふまえながら,教員


 

第4回愛媛大学全学シンポジウム 教育実践シンポジウム

■日時

2002年1月24日 

■テーマ

名人の心とワザを学ぶ 

■場所

愛媛大学工学部大会議室(工学部本館 3F) 

■概要

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 「名人の心とワザを学ぶ」とのテーマで1月24日(木)開催された,6組の名人達の発表は,本学の教員の教育実践におけるさまざまな創意工夫とその高さを示すものであり,今後の本学の更なる教育改善に力強い展望を抱かせました。

 シンポジウムには教職員約75人,学生7人の参加があり,質疑も活発に行われ大変実りのある結果となりました。ご協力ありがとうございました。以下に発表内容を掲載します。 

 

数理科学科における13年度からの新専攻別基礎科目『微分と積分』導入の試み 

坂口 茂(理学部) 

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発表される坂口先生 

発表資料(PDF:約16KB)

 

 

 

 

 

 

インターネット配信授業による高大連携の試み 

江崎次夫,小林修(農学部) 

小田清隆,八木昌生  (付属農高)

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 独法化を目前に、今、大学のアカウンタビリティ(説明責任)が求められている。さらに、少子化による生徒数の減少は大学経営に大きく影を落とすこととなる。この取り組みは、そのような状況を背景に、大学として何ができるかを考えたものである。現在、情報化、特にインターネット通信を取り巻く状況の進展は著しく、高速大容量での通信が可能なブロードバンド時代を迎えた。一昔前なら考えられなかった動画配信も可能な時代である。本学部(附属農高も含む)においてもハード面の整備がなされており、それを有効に活用し、外部への情報発信ができるシステムを考えたものが「インターネット配信授業」である。

 本学部は附属農高と連携し、高大一貫教育構想の下、昭和60年度より、農高生徒を対象とした「特別講義」(原則として50分または100分の1回完結)を実施している。各専門教育コース及び附属施設の各教官が講師となり、それぞれの研究内容を紹介するものとして、年間で25回(各学年8~9回)程度実施されている。これまでに講義の回数も400回を超え、ほとんどの農学部教官が複数回担当したこととなる。一方で、この講義が始まって以降の本学部への農高からの進学者は200名を超えた。この進学者の多くが、この講義を聞き、興味・関心を持ち、目的意識を持って入学し、各専門教育コースのリーダーとなっている。 

 今回の取り組みは、この実績をもとに、「特別講義」をインターネットを使って配信し、目的意識を持った学生を広く求めようとするものである。この講義は、本学部にとっても附属農高にとっても大きな財産であるが、広く公開することで、早期に農学に関する興味・関心を喚起するとともに、目的意識の高い学生を確保することにつながると考えられる。また、大学の研究内容を知ることで逆引き型学習への展開も期待でき、貴重な進路情報の提供になると考えられる。さらに、双方向性を持たせることによって、学習の深化・発展を図り、入学準備教育への展開も考えている。また、講義内容が入門的な内容であるので生涯学習への展開も可能である。本学部と農高の取り組むインターネット配信授業は、これからの時代の高大連携のあり方を示すものとなると考える。

 

今治タオル産業のフィールドワークを活用したゼミナールにおける研究・教育 

和田 寿博(助教授),和田研究室学生(法文学部) 

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 今治タオル産業のフィールドワーク(以下、 FW )を活用したゼミにおける研究・教育の実践を紹介する。 

 法文学部総合政策学科の和田ゼミでは、学生にとっての研究・教育をいっそう興味深いものとし、学生が意欲的に取り組めるものとするために、研究の出発点 に FW (=大学教育における総合学習)を位置づけている。総合政策学科では 2 回生時に FW が必修・選択となっているが、ここで獲得した手法をゼミで活用し ゼミの研究・教育を深めようと言うものである。   

 従来までの経済・経営・総合政策の研究・教育は、基礎文献や応用文献の読解をはじめとした文献学習に依拠するケースが多かったように思われる。このよう なスタイルは学生の研究対象となる事例、例えば、企業経営や労働生活、地域の問題などが家族・知人や地域生活、アルバイトを通じて身近に感じられる場合に は適合的であった。 しかし、今日においては学生の生活環境や学校教育が変化し、実際の社会に対する接点が薄くなる、研究対象との関係が疎遠になる、コミュ ニケーションが不足するといったことから、対象に対するイメージが持てなくなっている。こうしたもとで研究と教育を従来までのスタイルで行った場合に学生 は実感の伴わない文言だけの認識に留まったり、そもそも研究上の刺激を受け問題意識をもつことができなくなっている。 

 和田教官は経営管理論を担当しているが、経営学・経済学というすこぶる実践的で実際的な研究・教育の場合、学生の現実に対するイメージが希薄なもとでは 十分な研究・教育を行うことはできないと考えている。ゼミでは企業経営や地域経済、国際関係などを検討する前提として、興味のある企業・工場・経営者・地 域などを訪問し、テレビや新聞で見たことを学生の五感で確かめ、納得し、疑問を保ち、解決したいという気持ちを喚起してから文献を使った研究・教育に着手 している。

 今年のゼミ 3 回生はセーフガード問題で揺れている今治のタオル業者を訪れ、そもそもタオル産業とは何か、どのようにして開発・製造・販売・管理するのか を確かめた上で、政府のセーフガードに賛成する企業、反対する企業の事情を聞き、学生自らが分析と政策提起をまとめたレポートを執筆した。学生は、当初、
専門領域の基礎文献を読んだことはなく避けていたが、 FW を経験することによって企業経営や地域のグローバル化に関心を持ち、専門書を読み始め、タオル産 業、地場産業、外国貿易、日本経済などの文献を意欲的に読み、討論するようになっている。また、 FW の立案・実行・総括・決算などの過程を通じてマネジメ ントの能力を向上させ、役割分担とリーダーシップを深め、仲間づくりも勧めている。 

 以上のような内容をもつ研究・教育実践は、経済・経営・総合政策などの分野に留まらず、これからの大学での学生の研究と教育にとって有意義なものであると考える。  

 

医学部医学科におけるチュートリアル教育の試み 

小林直人(医学部部医学科解剖学第一講座)

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 チュートリアル教育とは、学生を少人数グループに分けて課題となる文章(例えば症例)を与え、その中から学生が自ら問題点を抽出して調査・整理することにより、学生の課題探究能力・問題解決能力を育てると共に、学生に自己学習の経験を積ませ習慣付けさせることを意図した教育法である。チュートリアル教育では講義はほとんど実施されず、小グループに分かれた学生の自主的な討論を教官であるチューターが効率的にサポートする、という形式で行なわれる。 

 学生の成績評価は、討論への参加や調査した内容の発表、通常のレポートや筆記試験を総合してなされる。 21世紀の医学教育においては、患者中心の医療のために、質の高い臨床能力と課題探究・問題解決能力を育てることがもっとも重要なテーマとなっている。

 また、刻一刻と増え続ける医学情報の全てを時間の限られた学部教育で扱うことはもはや困難であるため、学生は「知識・情報」のみならず「知識獲得の方法論」を修得しなければならない。さらに、これからの医療現場ではチーム医療の必要性がますます高まるため、学部学生のうちから、患者・医者間のコミュニケーション能力のみならず、医療チーム内でのコミュニケーション能力を養うよう指導しなければならない。チュートリアル教育はこのような要請に応えるための方法論の一つとして注目されている。愛媛大学医学部医学科では現在、教務委員会を中心にチュートリアル教育の積極的導入が検討されている。

 医学科全体での本格的導入に先立ち、発表者らを含むいくつかの講座では、独自に様々な形態のチュートリアル教育を試みている。解剖学第一講座では、2年次の解剖実習で、実習と平行して問題解決型のレポート課題を課す試みを行なっている。泌尿器科学講座では、4年次の系統講義のカリキュラムの中にチュートリアル教育を組み込んでいる。産科婦人科学講座では、5年次の臨床実習で各実習班毎にチュートリアル教育を実施している。これらの試みは、一連の教育カリキュラムの構築そのものをとらえ直すものであり、学部学科の特殊性を超えて様々な教育シーンで応用可能である。いわば、カリキュラム編成そのものの「名人芸」である。

 今回のシンポジウムでは、発表者らが現場で蓄積してきたチュートリアル教育の実践にあたっての知見やノウハウ、現実に生じた問題点の解決法などを、実例に基づいて提示する。さらに、講座を越えた科目横断的なチュートリアル教育カリキュラムの策定に向けて、予想される問題点などを考察する。

 

『授業通信』による対話の教育 

山本 万喜雄(教育学部) 

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「授業通信」による対話の教育

 否定的にとらえがちな面に,肯定的な光をあてて生かすことが,人間の尊厳に根ざす多様な個性を認めあう生き方の思想を編みだすのではないか。そのように考える私は,授業の感想文を重視した大学における教育実践を重ねてきた。 本報は,200人を超える多人数講義におけるコミュニケーションの試み,とりわけ「授業通信」による対話の教育について報告するものである。

感想文の書き方・読み方・返し方

 私にとって授業の感想文は,教育実践の鏡であり,なにより評価である。授業の終了前の10分程度をとって,授業のひとことを求める方法は,自らの成長にとても大きな役割を果たしている。書くことは考えること。自分のことばで,自分の問題として,自分の発想で書かれたものがたくさん出てくれば,たとえそれがその学生の歪みであったとしても,良い感想になるのではないかと考える。教師は事前に,その意図および感想文の読み方・返し方を十分理解してもらうことが大切である。また学生自身,短時間で感想をまとめる力の獲得が可能になるように,訓練しつつ教えることが必要になってくる。

 次に感想文を返す方法であるが,それには二つある。まず,感想文のいくつかを選び出し,その日の授業の全体がわかるように編集し,印刷したプリント(B4)を次の授業のはじめに全員に返す方法。もう一つの方法は,一人ひとりの感想文を期末にとじて返す。前者は他者からの学びあいができると支持され,後者は自らの生活を見つめる上で資料となると喜ばれている。ただ多人数講義の場合,この感想文の分析・総合の作業は,かなり時間を要する。それだけに,その日のうちにやってしまうことが,長続きのコツだと思う。

 最近では,学生の描いたイラストも生かしながら,楽しくアピールする通信にするよう心がけている。

 以上のような授業改善を1974年以来,地道に,ゆったり,くり返してきた。聞くところによれば,学生たちはこのプリントの束をていねいに保存し,中には学級通信や家族新聞に生かしている者もいるという。苦労が報われる思いである。尚参考までに「授業通信」を添付しておく。

「授業通信」(PDF:約110KB)

 

"凡庸な教師はただしゃべる"からの脱却 

大西 秀臣氏(工学部) 

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 "知的生産の技術"(1969年)のまえがきに,「学校は教えすぎる・・(中略)・・いまの学校という制度は学問や芸ごとをまなぶには,か


 

第3回愛媛大学全学シンポジウム

■日時

2001年1月25日 

■テーマ

大学教育・新しいうねり 

■場所

愛媛大学工学部1号館3階大会議室 

■概要

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 学内外にPRするため,話題提供者の話の要約をホームページに掲載することといたしました。このような地道な教育活動を紹介することで,本学の大学改革,授業改善の一助としてまた愛媛大学の教育に関して広く理解していただく一助となれば幸いです。

大学教育について,組織又は個人レベルで行われている先駆的・試行的な取り組みの報告・紹介及びそれを受けての意見の交流を通して,愛媛大学の教育改善に資する。 

 

CALL教室活用の試みと課題-未習外国語の授業実践例より- 

法文学部 柳 光子 

 平成11年度に本学に導入されたCALL(Computer Assisted Language Laboratories) 教室について、多彩な機能を備えるシステムの概要を紹介し、その有用性および付随する諸問題を、フランス語の授業実践の経験をふまえて提示した。  

 

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The Winds of Change are Blowing : The Future of English L2 Education at Universities in Japan. 

教育学部 R.J.Davies 

      This presentation addresses many of the most important problems facing English L2 education in Japan in the 21st century and suggests that "the winds of change are blowing." These changes will include a reorientation of classroom instruction towards fundamental communicative goals at all levels of the curriculum, as well as a movement to make such studies accessible to both local citizens and students from other countries.  

 

理科嫌いをなくする5つの方法-理学部における科学教育への取り組み- 

理学部 林 秀則 

 大学および地域社会における科学教育を充実し、青少年の「理科嫌い・理工離れ」を解消する目的で、高校生を対象とした遺伝子組み換えの実験講座や小学生とその父母を対象とした科学実験教室などを開催した。  

発表資料1(PDF:約100KB)

発表資料2(PDF:約80KB)

発表資料3(PDF:約50KB)

 

社会医学におけるチュートリアル教育の試み 

医学部 加藤 匡宏 

 医学部公衆衛生学講座では、公衆衛生実務教育の一貫として、医学部4回生を対象に、8ヶ月の「社会医学実習」を実施している。「社会と医療」に関するテーマに応じた自主的な調査活動を実施する。教官は、各学生グループが、調査対象との関係に支障をきたさないように、学外での調査活動の手続きや倫理などについて配慮するが、調査の手法、内容は、学生の自主性に任せる。調査終了後、報告会を開催する。この教育の試みの特色は、外部教官、内部教官、学生が、一つの目標に向かって、集中することである。しかし、この教育の真の目的は、調査結果の優劣を決定することではなく、むしろ、グループ内の連帯感、調査手続きの倫理や煩雑さ、調査の挫折や達成を、学生と教官が共有しあうことであり、「社会」を相手とする調査研究活動の「産みの苦しみと喜び」の過程を経験できることである。  

発表資料1(PDF:約40KB) 

発表資料2(PDF:約40KB)

 

学生に優しい授業への模索 

工学部 有井 清益 

 学生の考え方、感じ方をどのようにして受け入れるか、一人ひとりが自らの意志を立ち上げるにはどうするかを30年間模索してきた。「私が変わります」をキーワードにこれまでの自分の価値観や具体的な方法等を変革してきた体験談と一部の成果を報告した。

発表資料(Word:約21KB)

 

基礎科学実験の理念及び試行プラン 

工学部 田中 寿郎 

 最近の学生に欠如している自然現象に関する実体験と自らの力で主体的に問題を発見し解決する経験や物を作る体験を補う新規実験科目「基礎科学実験」を計画し、平成13年度機能材料工学科入学生に対して試行を行なう。

発表資料1(PDF:約50KB) 

発表資料2(PDF:約30KB)

 

「電気電子工学ミニマム」の試み 

工学部 矢野 忠 

 「電気電子工学科ミニマム」は電気電子工学科で学ぶに必要な数学を最小の努力で修得するための「技術」数学へのミニガイド(小冊子)です。できるだけ少ない知識から必要な知識が得られるように配慮しています

発表資料(Word:約25KB)

 

演習林における野外実践教育を通した21世紀対応- 演習林を活用した新たな森林教育の試み- 

農学部 鶴見 武道 

 「ゆとりの中で生きる力を育む」という教育の大目標に対して,森林を舞台とした教育は大きな貢献の可能性を持っていることが確認できた。今後,全学部の教官と連携を深めながら,その可能性を追求し,森林教育の拡充・進化とその体系化に努めたい。

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